Flying Future パイロット訓練生のブログ

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航法② DAとWCA

※実際のフライトに活用できる記事ではありません※

「 Drift AngleとWind Correction Angleはほとんど等しいが厳密には異なる」
というフレーズは航法の勉強をしていると誰もが耳にしたことがあるかと思います。

 
とはいえその差はほとんど無視できる範囲。
実際のフライトには影響がないのが実情です。

 
では実際に、DAとWCAの違いはどれ程のものなのか、計算してみました。
やり方は簡単です。
三角関数のsinとtanで簡単に理解できます。

HDG360 TAS100 風090/40のとき、

 

f:id:flyinggoro:20170209235422p:plain

 

{ \displaystyle \begin{equation} \arctan \frac{40}{100} = 21.8 \end{equation} }

より、DA=21.8°となります。

TC360 TAS100 風090/40のとき、 
実際にNAVLOGを作成する際はこちらのパターンですね。

 

f:id:flyinggoro:20170210133122p:plain

{ \displaystyle \begin{equation} \arcsin \frac{40}{100} = 23.6 \end{equation} }

 

 より、WCA=23.6°が分かります。

 
※よく、WCAの求め方のルールオブサム、  
WCA = 60 x 横風成分 / AS  (※横風成分 = 風速 x sin(差角)  )
と習いますが、この方法で計算すると、この場合では
WCA = 60 x 40 x sin90°  / 100 = 24.0 となってしまい、
この方法は厳密には間違いであることがわかります。(正しいWCAは23.6°)
もう1回くらい検証しておきましょう。
010/40の時:このルールオブサムでは4.17°(正しくは3.98°) →割合の問題でもなさそうです。

さて、DAをWCAの違いをグラフにしてみると・・・

 

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このようになります。
小型機での訓練においては、
DAとWCAの違いはほとんど無視できることがグラフから読み取れます。
(相似的に考えることができるので、500KTの飛行機と200KTの風でも、DAとWCAの誤差は無視できるといえるでしょう) 

自分の備忘録として、また誰かの役に立てれば幸いです。
グラフ作成 : グラフ計算

航法① 真横からの風とは?

 

航法の勉強をしている中で、先輩と盛り上がった話題です。

真横からの風とは一体どいういうものなのでしょうか?

 

◆まず考えられるのが、飛行機のまさしく真横からの風。

 

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しかしこの場合、飛行機はこのような航跡で飛びます。

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DAが12°となり、左に流されます。

ここでよく見てみると、GSが102KTとなっています。

もし「真横からの風」を、「正対風成分も背風成分もないもの」とするのであれば、

これは背風成分があるので、真横からの風とは言えないでしょう。

 

◆では次に、航跡に対して真横からの風だったら?

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WCAが12°となり、このようになります。

(ここではDA=WCAとなっていますが、厳密には異なります)

(また、正しくはTRではなくTCと表します)

こちらはTAS100KTに対してGSが98KTになっています。

つまり正対風成分があり、真横からの風とは言えません。

 

◆風力三角形で考える

ベクトル成分で考えると理解しやすくなります。

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要は、このような二等辺三角形を描くような風力三角形を考えれば良い訳です。

tanで簡単に求められそうですね。

 

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一つの例としてこのような組み合わせとなりました。

 

結論として、

「(TASとGSが等しくなるような)真横からの風」は、

HDGに対して垂直でも、TR(TC)に対して垂直でもなく、

風力三角形が二等辺三角形となるような成分を持つ風

ということが分かりました。

 

自分の備忘録として、また誰かの役に立てれば幸いです。

スペシャルVFRで飛ぶ時の外の見え方。

SVFRの条件として、

  • Clear of cloud
  • 視程1500m以上
  • SFCを引き続き視認
  • 管制機関と ・・・等

といった項目を漠然と覚えてはいるものの、
同期との会話の中で
「視程1500mとはどういう状況なのだろうか」
という話題になりました。

セスナ172の場合、

「A × 1000ftで飛んでいる時、
 自機からの水平距離A NM先のところまで、
 コックピットから見てエンジンカウルに隠れる」
と覚えます。
(例:3000ftで飛行中であれば3マイル先がカウルと重なる)
1NM ≒ 6000ft なので、 tan(10°) ≒ 1/6 ですね。つまり俯角10°です。

◆管制圏に入域しようとするタイミングで、
視程1500mを想定。
入域直前(5NM)には高度2000ftとすると、
エンジンカウルの線は2NM先、つまり3700m先ということになります。
それすらも全然見えない状況です。
見えるのは、1500m先まで、つまり5000ft先。
tanθ = 2000 / 5000 より θは22°ということが分かります。

整理すると、水平線からエンジンカウルまでが10°、それよりも12°下にある線
(おそらくコクピットから見た計器版の中心あたり)が、
2000ft飛行時の1500m先 ということになります。

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  • 「ほぼ目の前は何の見えないが、自機の左右と少し先はなんとか見える」
    をSVFRの一つの目安としてイメージしておきたいと思います。

天気の良い日に羽田空港の展望デッキから富士山が見えることがあります。
羽田空港から富士山の距離をGoogle Mapで測定してみると・・・f:id:flyinggoro:20170129010300p:plain

ほぼ100kmですね。100,000mです。
勉強中に出てくる視程は、1500m 3000m 5000m といった数字
がほとんどですが、それらはなかなかイメージしにくいですね。
視程が悪い中のフライトをイメージするには、
こういう映像を見てみるのも良いかもしれません。

youtu.be

以上、自分の備忘録として、また誰かの役に立てれば幸いです。

旋回半径の簡単な求め方。

力学、操縦法、航法や、

トラフィックパターンのまわり方を考える時など、

様々な場面で必要になる「旋回半径」。

 

小型のプロペラ機から大型のジェット機まで、

速度とバンク角が分かれば、以下の公式で求めることができます。

 

旋回半径r = (V^2) / g*tan(バンク角)

 

しかし見ての通り、上空ではもちろん、地上でもいちいち計算するのも大変です。

そこで、計算過程を可能な限り省略し簡潔に表してみました。

  • 10度バンクの旋回半径[m] = (V[kt])^2 × 0.15
  • 20度バンクの旋回半径[m] = (V[kt])^2 × 0.074
  • 30度バンクの旋回半径[m] = (V[kt])^2 × 0.047

係数の部分だけアンチョコとして用意しておけば、いざという時使えるかと。

少なくとも上空で三角関数を計算する必要はなくなるでしょう。

※AIM-J 11章のRule of thumb に(V/60)^2を使う方法も記載されています。

 

自分の備忘録として、また誰かの役に立てれば幸いです。